ジャーナル四天王(NEJM ・ Lancet ・ JAMA ・ BMJ )最新ニュース|page:7

臓器不全の重篤患者、ICU治療にSGLT2阻害薬追加は有益か?/JAMA

 急性臓器不全を呈した重篤患者に対し、標準的なICU治療にSGLT-2阻害薬ダパグリフロジンを追加しても臨床アウトカムは改善しなかった。一方で、信頼区間(CI)値の範囲が広く、ダパグリフロジンに関連する有益性または有害性を排除できなかったという。ブラジル・Hospital Israelita Albert EinsteinのCaio A. M. Tavares氏らDEFENDER Investigatorsが多施設共同無作為化非盲検試験「DEFENDER試験」の結果を報告した。SGLT-2阻害薬は、糖尿病、心不全、慢性腎臓病(CKD)を有する患者のアウトカムを改善するが、臓器不全を呈した重篤患者のアウトカムへの効果は不明であった。JAMA誌2024年8月6日号掲載の報告。

浸潤性子宮頸がん、HPV遺伝子型別の有病率を解明/Lancet

 ヒトパピローマウイルス(HPV)の遺伝子型別に浸潤性子宮頸がん(ICC)の有病率を把握することは、1次予防(すなわちワクチン接種)および2次予防(すなわちスクリーニング)のターゲットとすべきHPV遺伝子型を明らかにすることを可能とする。フランス・国際がん研究機関(IARC/WHO)のFeixue Wei氏らは、各HPV遺伝子型のICCとの因果関係を明らかにするために、世界レベル、地域レベルおよび各国レベルのHPV遺伝子型別の人口寄与割合(AF)をシステマティックレビューにより推定した。Lancet誌2024年8月3日号掲載の報告。

シェーグレン症候群、抗CD40抗体iscalimabが有望/Lancet

 シェーグレン症候群の治療において、プラセボと比較して抗CD40モノクローナル抗体iscalimabは、疾患活動性に関して有意な用量反応関係を示し、忍容性も良好であることが、英国・University Hospitals Birmingham NHS Foundation TrustのBenjamin A. Fisher氏らが実施した「TWINSS試験」で明らかとなった。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2024年7月31日号で報告された。  TWINSS試験は、23ヵ国71施設で実施した二重盲検無作為化プラセボ対照第IIb相試験であり、2019年10月~2022年2月に参加者のスクリーニングを行った(Novartis Pharmaの助成を受けた)。

活動制限の有病率に、性差や国の経済水準による差はあるか/Lancet

 活動制限(activity limitation)の世界的な有病率は、男性よりも女性で、高所得国よりも低所得国や中所得国で大幅に高く、歩行補助具や視覚補助具、聴覚補助具の使用率のかなりの低さも手伝ってこの傾向は顕著であるため、活動制限の影響を軽減するための公衆衛生キャンペーンの焦点となりうる重要な課題であることが、カナダ・マクマスター大学のRaed A. Joundi氏らが実施した「PURE研究」で示された。研究の詳細は、Lancet誌オンライン版2024年7月25日号に掲載された。  PURE研究は、活動制限の有病率と補助具の使用、および活動制限と有害なアウトカムとの関連の定量化を目的とする前向きコホート研究で、経済水準の異なる25ヵ国の個人データの解析を行った(カナダ・Population Health Research Instituteなどの助成を受けた)。

AHA開発のPREVENT計算式は、ASCVDの1次予防に影響するか/JAMA

 米国心臓病学会(ACC)と米国心臓協会(AHA)の現行の診療ガイドラインは、pooled cohort equation(PCE)を用いて算出されたアテローム動脈硬化性心血管疾患(ASCVD)の10年リスクに基づき、ASCVDの1次予防では降圧薬と高強度スタチンを推奨しているが、PCEは潜在的なリスクの過大評価や重要な腎臓および代謝因子を考慮していないなどの問題点が指摘されている。米国・ハーバード大学医学大学院のJames A. Diao氏らは、2023年にAHAの科学諮問委員会が開発したPredicting Risk of cardiovascular disease EVENTs(PREVENT)計算式(推算糸球体濾過量[eGFR]を導入、対象年齢を若年成人に拡大、人種の記載が不要)を現行ガイドラインに適用した場合の、スタチンや降圧薬による治療の適用、その結果としての臨床アウトカムに及ぼす影響について検討した。研究の詳細は、JAMA誌オンライン版2024年7月29日号に掲載された。

原発不明がん、包括的ゲノム解析に基づく個別化治療が有望/Lancet

 未治療の非扁平上皮性の非良性原発不明がん(cancer of unknown primary:CUP)で、導入化学療法後に病勢コントロールが得られた患者においては、プラチナ製剤ベースの標準的な化学療法と比較して、分子腫瘍委員会による包括的ゲノム解析(comprehensive genomic profiling:CGP)に基づいて担当医が個別に選択した治療(molecularly guided therapy:MGT)は、無増悪生存期間(PFS)中央値が有意に延長し、客観的奏効率にも良好な傾向がみられることが、German Cancer Research Center(DKFZ)のAlwin Kramer氏らが実施した「CUPISCO試験」で示された。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2024年7月31日号で報告された。

アルツハイマー病、血液検査で高い精度で診断/JAMA

 血漿中リン酸化タウ217(p-tau217)と非p-tau217の比率(%p-tau217)と血漿中アミロイドβ42およびアミロイドβ40の比率(Aβ42:Aβ40比)を組み合わせたAPS2(amyloid probability score 2)と、%p-tau217のみに基づく検査は、事前に定義されたカットオフ値を用いた場合、1次医療および2次医療で認知症状を有する人のアルツハイマー病(AD)を高い精度で診断できることが明らかになった。スウェーデン・ルンド大学のSebastian Palmqvist氏らが、事前に定義されたバイオマーカーのカットオフ値を前向きに評価する目的で実施したコホート研究の結果を報告した。血液検査によりADを診断できる可能性がある。JAMA誌オンライン版2024年7月28日号掲載の報告。

ベンラリズマブ、好酸球性食道炎に有効か?/NEJM

 好酸球性食道炎に対し、ベンラリズマブはプラセボと比較して組織学的寛解率が有意に高かったものの、嚥下障害の症状に関しては有意な改善は認められなかった。米国・シンシナティ大学のMarc E. Rothenberg氏らMESSINA Trial Investigatorsが、第III相多施設共同無作為化二重盲検プラセボ対照試験「MESSINA試験」の結果を報告した。ベンラリズマブは好酸球を減少させる抗インターロイキン-5受容体αモノクローナル抗体である。これまでの研究で、ベンラリズマブ治療により、血液、骨髄、肺、胃、食道組織における好酸球のほぼ完全な減少がもたらされ、ベンラリズマブが好酸球性食道炎の治療薬として有望である可能性が示されていたが、好酸球性食道炎患者におけるベンラリズマブの有効性と安全性は不明であった。NEJM誌2024年6月27日号掲載の報告。

中年期~高齢期の血漿バイオマーカー、認知症発症との関連を解析/JAMA

 米国・ノースカロライナ大学チャペルヒル校のYifei Lu氏らは、中年期から高齢期にかけての血漿バイオマーカーの変化とすべての認知症との関連を、米国で行われた前向きコホート試験「Atherosclerosis Risk in Communities(ARIC)試験」の参加者データを用いて後ろ向き解析にて調べた。アルツハイマー病(AD)の神経病理、神経損傷、アストログリオーシスを示す血漿バイオマーカー値は加齢とともに上昇し、既知の認知症リスク因子と関連していた。また、AD特異的バイオマーカーと認知症の関連は中年期に始まり、高齢期のAD、神経損傷、アストログリオーシスの血漿バイオマーカー測定値は、すべてが認知症と関連していた。血漿バイオマーカーは、AD病理と神経変性に関する費用対効果の高い非侵襲的なスクリーニングになると大きな期待が寄せられているが、発症前に関しては十分に解明されておらず、多様な集団や生涯にわたる追加の調査が必要とされていた。JAMA誌オンライン版2024年7月28日号掲載の報告。

デュピルマブ、11歳以下の好酸球性食道炎に有効/NEJM

 小児(1~11歳)の好酸球性食道炎患者において、デュピルマブはプラセボと比較して有意に高率な組織学的寛解をもたらし、デュピルマブの高曝露レジメンがプラセボと比較して、重要な副次エンドポイントの測定値の改善に結びついたことが示された。米国・マウントサイナイ・アイカーン医科大学Mirna Chehade氏らが第III相無作為化試験の結果を報告した。デュピルマブはIL-4/IL-13経路を阻害するヒトモノクローナル抗体であり、成人および思春期の好酸球性食道炎を含む、2型炎症で特徴付けられる5つの異なるアトピー性疾患で有効性が示されていた。NEJM誌2024年6月27日号掲載の報告。

NSAIDの“有害な処方”、とくに注意すべき患者群とは/BMJ

 イングランドでは、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)の処方は5つの高リスク集団において、回避可能な害(avoidable harm)と医療費増加の継続的な原因であり、とくに慢性疾患を有する集団や経口抗凝固薬を使用している集団において急性イベント誘発の原因となっていることが、英国・マンチェスター大学のElizabeth M. Camacho氏らの調査で明らかとなった。研究の成果は、BMJ誌2024年7月24日号で報告された。  研究グループは、イングランドの高リスク集団における問題のある経口NSAID処方に関して、発生率、有害性、英国国民保健サービス(NHS)の費用の定量化を目的に、住民ベースのコホート研究を行った(英国国立衛生研究所[NIHR]の助成を受けた)。

中等症~重症アトピー性皮膚炎、ネモリズマブ追加で治療成功率が向上/Lancet

 そう痒を伴う中等症~重症のアトピー性皮膚炎を有する成人および青少年の治療において、基礎治療(局所コルチコステロイド[TCS]±局所カルシニューリン阻害薬[TCI])単独と比較して、基礎治療+ネモリズマブ(インターロイキン-31受容体サブユニットα拮抗薬)は、治療成功および皮膚症状改善の達成率の向上をもたらし、安全性プロファイルは両群でほぼ同様であることが、米国・ジョージ・ワシントン大学のJonathan I. Silverberg氏らが実施した2つの臨床試験(ARCADIA 1試験、ARCADIA 2試験)で示された。研究の成果は、Lancet誌2024年8月3日号に掲載された。

MRD陰性寛解BCP-ALLの地固め療法、ブリナツモマブ追加でOS改善/NEJM

 測定可能残存病変(MRD)陰性の寛解を達成した前駆B細胞性急性リンパ芽球性白血病(BCP-ALL)の成人患者に対する化学療法による地固め療法にブリナツモマブ(二重特異性T細胞誘導[BiTE]抗体)を追加すると、地固め化学療法単独と比較して、3年全生存(OS)率を有意に改善し、3年無再発生存(RFS)率も有意に良好であることが、米国・メイヨー・クリニックのMark R. Litzow氏らが実施したE1910試験で示された。研究の成果は、NEJM誌2024年7月25日号に掲載された。  E1910試験は、MRD陰性寛解を達成したBCP-ALL成人患者に対する地固め療法におけるブリナツモマブ追加の有効性と安全性の評価を目的とする無作為化第III相試験であり、2013年12月~2019年10月にカナダ、イスラエル、米国の参加施設で患者を登録した(米国国立衛生研究所[NIH]などの助成を受けた)。

慢性手湿疹、デルゴシチニブ外用薬が有効/Lancet

 中等症~重症の慢性手湿疹を有し、基本的なスキンケアやコルチコステロイド外用薬では十分にコントロールできない患者の治療において、基剤を含み有効成分を含まないクリームと比較してヤヌスキナーゼ(JAK)阻害薬デルゴシチニブを含有するクリームは、16週の投与で高い有効性を示し、忍容性も良好であることが、カナダ・Innovaderm ResearchのRobert Bissonnette氏らtrial investigatorsが実施した2つの臨床試験(DELTA 1試験、DELTA 2試験)で示された。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2024年7月18日号で報告された。

公共の場でのマスク着用、呼吸器感染症の発症予防効果は/BMJ

 14日間にわたり公共の場でサージカルフェイスマスクを着用した場合、着用しない場合と比較して、自己申告に基づく呼吸器感染症の症状発症リスクが有意に減少した。ノルウェー・公衆衛生研究所のRunar Barstad Solberg氏らが実用的無作為化優越性試験の結果を報告した。感染予防策としてのサージカルフェイスマスクの有効性は定かではなく、観察研究でフェイスマスクの着用が呼吸器感染症のリスクを減少させることが示唆されているが、これまでの無作為化試験は検出力不足など方法論的に限界があった。著者は、「本研究は多くの先行試験と異なり、十分な検出力を有している。フェイスマスクの着用は、負担の少ない比較的低コストで簡単な、呼吸器感染症の流行を抑えるために検討する価値があると考えられるいくつかの公衆衛生および社会的対策の1つである」とまとめている。BMJ誌2024年7月24日号掲載の報告。

中等~重症の潰瘍性大腸炎、リサンキズマブの導入・維持療法が有効/JAMA

 中等症~重症の活動期潰瘍性大腸炎患者において、IL-23p19阻害薬リサンキズマブは寛解導入療法および維持療法として、プラセボと比較し臨床的寛解率を改善することが示された。ベルギー・リエージュ大学病院のEdouard Louis氏らINSPIRE and COMMAND Study Groupが、第III相無作為化二重盲検プラセボ対照試験「INSPIRE試験」および「COMMAND試験」の結果を報告した。JAMA誌オンライン版2024年7月22日号掲載の報告。  導入療法試験「INSPIRE試験」は、2020年11月5日~2022年8月4日(最終追跡日2023年5月16日)に41ヵ国261施設で実施された。

院外心停止者の血管アクセス、骨髄路vs.静脈路/BMJ

 非外傷性院外心停止成人患者において、骨髄路確保は静脈路確保と比較して、生存退院、病院到着前自己心拍再開、持続的自己心拍再開、良好な神経学的アウトカムのいずれについても差はなかった。台湾・国立台湾大学病院のYing-Chih Ko氏らが、クラスター無作為化比較試験「Venous Injection Compared To intraOsseous injection during Resuscitation of patients with out-of-hospital cardiac arrest trial:VICTOR試験」の結果を報告した。蘇生に関するガイドラインでは、院外心停止時の薬物投与には静脈路を優先し、静脈路が確保できない場合は骨髄路を使用することが推奨されているが、これまでの後ろ向き研究には限界があった。著者は、今回の前向き試験の結果に基づき、「骨髄路確保は、静脈路確保の代替ではなく第1選択として考慮しうるもので、患者や救急医療システムのさまざまな特徴に基づいた血管アクセスの最適な意思決定プロセスを検討する必要がある」とまとめている。BMJ誌2024年7月23日号掲載の報告。

シス女性のHIV曝露前予防、レナカパビル年2回投与が有効/NEJM

 レナカパビル年2回皮下投与によりHIV感染の発生は認められず、バックグラウンドおよびエムトリシタビン/テノホビル・ジソプロキシルフマル酸塩(F/TDF)と比較してHIV感染の発生率を100%低下させることが、南アフリカ・ケープタウン大学のLinda-Gail Bekker氏らPURPOSE 1 Study Teamによる第III相無作為化二重盲検実薬対照比較試験「PURPOSE 1試験」において示された。シスジェンダー女性におけるHIV曝露前予防は、予防薬の服薬、服薬アドヒアランスおよび服薬継続に限界があり、新たな選択肢の開発が望まれていた。NEJM誌オンライン版2024年7月24日号掲載の報告。

妊娠初期のコロナ感染・ワクチン接種、児の先天異常と関連せず/BMJ

 妊娠第1三半期(13週+6日)における新型コロナウイルス感染およびワクチン接種は、生児の先天異常のリスクに大きな影響を及ぼさないことが、ノルウェー・公衆衛生研究所のMaria C. Magnus氏らの調査で示された。研究の詳細は、BMJ誌2024年7月17日号で報告された。  研究グループは、妊娠第1三半期における新型コロナウイルス感染およびワクチン接種による主要な先天異常のリスクへの影響の評価を目的に、北欧の3ヵ国でレジストリベースの前向き研究を行った(ノルウェー研究会議[RCN]などの助成を受けた)。

ベイピング製品の長期使用、電子タバコの普及で増加/BMJ

 イングランドの成人では、2013年から2023年にかけて長期のベイピング(vaping)が大幅に増加し、その多くが新しい使い捨て電子タバコ(e-cigarettes)の人気が高まった2021年に使用を開始していた。現時点での長期ベイピング者の半数は使い捨てデバイスを使用し、この増加は喫煙歴のある集団に集中しているものの非喫煙者でもとくに若年層で増加していることが、英国・ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンのSarah E. Jackson氏らの調査で示された。研究の成果は、BMJ誌2024年7月17日号に掲載された。