ジャーナル四天王(NEJM ・ Lancet ・ JAMA ・ BMJ )最新ニュース|page:178

中絶胎児で小頭症を確認、脳内からジカウイルス検出/NEJM

 ブラジルで妊娠初期にジカウイルスに感染したと考えられる25歳の欧州女性が、妊娠32週で人工中絶。その胎児解剖の結果、小頭症が認められ、脳内からはジカウイルスが検出された。スロベニア共和国・リュブリャナ大学のJernej Mlakar氏らによる症例報告で、NEJM誌オンライン版2016年2月10日号で発表した。中南米とカリブ地域では2015年、ジカウイルス感染症の流行が報告され、同ウイルスに感染した母親から生まれた新生児の小頭症が増加していることが重大な懸念として持ち上がっている。

喫煙者のQOL低下、中枢気道虚脱が関連/JAMA

 喫煙者(元喫煙者も含む)では、呼気時の中枢気道虚脱(ECAC)が呼吸器QOLの悪化と関連していることを、米国・アラバマ大学のSurya P. Bhatt氏らが、COPDGene研究で得られた呼気・吸気CT画像を解析し、明らかにした。ECACは、呼気時に気道が50%以上狭窄する病態として定義され、気管軟骨の脆弱化や気管後壁(膜性壁)の過伸展により生じる。喫煙や慢性閉塞性肺疾患(COPD)と関連するといわれているが、ECACの有病率や臨床的意義はわかっていなかった。JAMA誌オンライン版2016年2月2日号掲載報告。

ベンゾジアゼピン系薬は高齢者の認知症リスクを高めるか/BMJ

 ベンゾジアゼピン系薬の累積使用量が少ない場合に認知症のリスクはわずかに高まるが、多い場合はこの関連が認められないことが、米・ワシントン大学のShelly L Gray氏らによる地域住民ベースの前向きコホート研究で明らかとなった。著者は、「この結果は、ベンゾジアゼピン系薬と認知症との因果関係を支持しないものだ」と結論付けている。高齢者では、転倒、骨折、せん妄のリスクがあるためベンゾジアゼピン系薬の投与は推奨されていない。にもかかわらず、睡眠障害や不穏等に対する使用は、年齢とともに増えているのが現状である。これまでの研究で、ベンゾジアゼピン系薬の投与が認知症リスクの増加と関連していることが示唆されていたが、長期の使用が認知症や認知機能低下と関連しているかどうかは不明であった。BMJ誌オンライン版2016年2月2日号掲載の報告。

非糖尿病の肥満妊婦にメトホルミンは有用?/NEJM

 BMI35超で非糖尿病の妊婦に対する周産期におけるメトホルミン投与は、新生児の出生体重を減少せず、一方で母親の妊娠中の体重増を抑制し、妊娠高血圧腎症罹患率は低下した。英国・キングス・カレッジ病院のArgyro Syngelaki氏らが、450例の妊婦を対象に行った試験の結果、示された。肥満は有害妊娠アウトカムのリスク増大との関連が知られている。しかし、これまでに行われた生活習慣介入試験では、転帰の改善は認められていない。メトホルミンは、妊娠糖尿病を有する妊婦への投与で、非投与の妊婦と比べて体重増加量が少なかったことが報告されていた。NEJM誌2016年2月4日号掲載の報告。

重症COPDへのアセタゾラミドの効果を検証/JAMA

 人工呼吸を要する重症の慢性閉塞性肺疾患(COPD)で代謝性アルカローシスが疑われる患者に対し、アセタゾラミドを用いても、侵襲的人工呼吸器管理期間の短縮効果は得られないことが示された。フランス・ジョルジュ・ポンピドゥー欧州病院のChristophe Faisy氏らが、382例を対象に行った無作為化プラセボ対照二重盲検試験の結果、報告した。人工呼吸器離脱時間やPaCO2経日変化についても、プラセボ群との有意差は認められなかったという。アセタゾラミドは数十年にわたり、COPDで代謝性アルカローシスを呈した患者に対し呼吸興奮薬として使用されている。しかし、これまでその効果を検証する大規模なプラセボ対照試験は行われていなかった。JAMA誌2016年2月2日号掲載の報告。

急性期病院における転倒予防プログラムの効果は?/BMJ

 多面的転倒予防プログラムの導入で、転倒アセスメントツールの活用や予防的介入の増加など好ましい変化は生じたものの、通常ケアと比較して転倒や転倒による外傷の発生頻度は減少せず、転倒予防効果は認められなかった。オーストラリア・モナシュ大学のAnna L Barker氏らが、同国6病院の急性期病棟で、多面的転倒予防プログラム「6-PACKプログラム」の効果を評価するクラスター無作為化比較試験を行い、報告した。結果を踏まえて著者は、6-PACKプログラムに含まれていない、せん妄予防に焦点を当てた介入の必要性を示唆するとともに、「急性期病棟での転倒予防プログラムの効果を示す質の高いエビデンスはなく、院内での転倒問題に関する新たな解決策を早急に確立する必要がある」とまとめている。BMJ誌オンライン版2016年1月26日号掲載の報告。

妊娠後期のビタミンD補給で子供の喘鳴を予防できるか/JAMA

 母親が妊娠後半(妊娠7ヵ月以降)にビタミンD3を補給しても、生まれた子の持続性喘鳴のリスクは低下しないことが、デンマーク・コペンハーゲン大学のBo L. Chawes氏らが行った単一施設での二重盲検無作為化比較試験で明らかとなった。この試験は、コペンハーゲン小児喘息前向きコホート研究2010(Copenhagen Prospective Studies on Asthma in Childhood 2010 :COPSAC2010)の一環として行われたもの。これまで、観察研究において妊娠中のビタミンD摂取量増加により子の喘鳴を予防できる可能性が示唆されていたが、妊婦へのビタミンD投与による予防効果について検証はされていなかった。JAMA誌オンライン版2016年1月26日号掲載の報告。

禁煙のための薬物療法、長期効果は同等/JAMA

 禁煙を希望する喫煙成人において、ニコチンパッチ、バレニクリン、ニコチンパッチ+ニコチントローチのいずれの介入も長期の禁煙効果は同等であることが、米国・ウィスコンシン大学のTimothy B. Baker氏らが1,086例を対象に行った非盲検無作為化試験の結果、示された。12週間治療を行い、26週、52週間後の禁煙率を生化学的検査で調べたが、その値に有意差は認められなかったという。著者は、「今回の結果は、禁煙治療の薬物強化療法に関する相対的な効果について疑問を呈するものであった」と述べている。JAMA誌2016年1月26日号掲載の報告。

メニエール病へのベタヒスチン、めまい発作予防効果は認められず/BMJ

 メニエール病の患者に対しベタヒスチンを投与しても、プラセボと比べて、メニエール病発作の予防効果は認められなかった。一方で、プラセボ群を含めすべての投与群で、治療開始7~9ヵ月の発作回数は約4分の3に減少した。ドイツ・ミュンヘン大学病院のChristine Adrion氏らが、221例を対象に行った第III相のプラセボ対照無作為化二重盲検試験(BEMED試験)の結果、明らかにした。JAMA誌2016年1月21日号掲載の報告。

妊娠中のビタミンD補充は子供の喘息予防に有効か/JAMA

 出生後の子供の喘息リスクが高い妊婦では、ビタミンDの補充により妊娠後期のビタミンD値が有意に上昇したが、子供が3歳までに喘息または再発喘鳴を来すリスクは低下傾向を認めたものの有意ではなかったとの研究成果を、米国ブリガム・アンド・ウィメンズ病院のAugusto A Litonjua氏らが、JAMA誌2016年1月26日号で報告した。喘鳴は出生から数週で始まり、その発生に関与する出生前の決定因子の存在が示唆されている。ビタミンDは、胎児期~出生後早期の肺および免疫系の発育に影響を及ぼし、妊娠期のビタミンDの欠乏は早期の喘息や喘鳴の発症に重要な役割を果たしている可能性があるという。

腎移植後のbelatacept投与、7年時点のアウトカム/NEJM

 腎移植後の維持免疫抑制療法において、belataceptは従来の治療レジメンに比べ、長期的なアウトカムを改善するとの研究成果を、米国・カリフォルニア大学サンフランシスコ校のFlavio Vincenti氏らが、NEJM誌2016年1月28日号で報告した。免疫抑制療法は腎移植患者の短期的なアウトカムを改善することが知られているが、長期的な移植腎生着への効果を示すデータはほとんどない。belataceptは、ヒトIgG1のFc部分とCTLA-4の細胞外ドメインの融合蛋白で、共刺激の遮断を介してT細胞の活性化を選択的に阻害する(選択的共刺激遮断薬)。本薬は、従来のカルシニューリン阻害薬による有害作用を回避しつつ、高い免疫抑制効果をもたらすことで、腎移植患者の長期アウトカムを改善することを目的に開発されたという。

抗うつ薬による自殺行為の増加、5剤のSSRI/SNRIで検証/BMJ

 抗うつ薬の有害事象として、攻撃行動の増加がみられ、小児/青少年では自殺行為も増えているとの北欧コクランセンター(デンマーク)のTarang Sharma氏らによる研究成果が、BMJ誌オンライン版2016年1月27日号に掲載された。この研究では、抗うつ薬の臨床試験や治験総括報告書(clinical study report)の治療関連有害事象のデータには限界があることも示された。治験総括報告書は製薬企業が医薬品の市販の承認を得るために規制機関に提出する臨床試験の結果の詳細な概要であるが、最近のレビューは、公表された論文には患者の転帰に関する重要な情報が欠けていることが多いと指摘している。

生体吸収性スキャフォールドの1年転帰:4つのABSORBメタ解析/Lancet

 留置1年後における生体吸収性エベロリムス溶出スキャフォールド(BVS、Absorb)の有害事象の発現状況は、コバルトクロム合金製エベロリムス溶出ステント(CoCr-EES、Xience)とほぼ同等との研究結果が、米国・コロンビア大学のGregg W Stone氏らによってLancet誌オンライン版2016年1月26日号で報告された。BVSは、薬剤溶出金属製ステントに比べ経皮的冠動脈インターベンション(PCI)の長期的なアウトカムを改善する可能性が指摘されているが、これらのデバイスの1年後の安全性や有効性は知られていない。

進行NSCLC治療、全例への遺伝子検査は有用か/Lancet

 進行性非小細胞肺がん(NSCLC)治療に関して、患者の分子プロファイリングを日常診療として全国的に実施することは可能であり、その作業は遺伝子変異や融合遺伝子など遺伝子異常の頻度、所要日数および治療効果からみても有用であることが確認された。フランス・マルセイユ公立病院機構(APHM)のFabrice Barlesi氏らが、French Collaborative Thoracic Intergroup(IFCT)による1年間のプログラムの成果を踏まえて報告した。NSCLCの治療においては、既知のドライバー遺伝子について日常的に患者の分子プロファイルを調べることが推奨されているが、その国家的な実現性や有用性は不明であった。Lancet誌オンライン版2016年1月14日号掲載の報告。

女性の不妊に関わる遺伝子変異が判明/NEJM

 βチューブリン遺伝子(TUBB)8の変異が、微小管の形成や動態、卵母細胞の減数分裂と紡錘体形成ならびに卵母細胞の成熟を妨害し、優性遺伝的に女性の不妊症を引き起こすことを、中国・復旦大学Ruizhi Feng氏らが、不妊症の女性を含む24家族のDNA解析の結果、明らかにした。受精は、第二減数分裂中期で停止している成熟した卵母細胞に精子細胞が侵入することで開始するが、ヒト卵母細胞の成熟停止の原因となる遺伝的異常は明らかにされていなかった。NEJM誌2016年1月21日号掲載の報告。

心房細動患者の死亡リスク、女性のほうが高い/BMJ

 心房細動患者において、女性は男性に比べて全死因死亡リスクが約1.1倍、心血管死リスクは1.9倍、いずれも大きいという。英国・オックスフォード大学のConnor A. Emdin氏らが、30件のコホート試験について行ったメタ解析の結果、明らかにした。これまでの研究結果から、心血管疾患リスクについては、そのリスク因子である糖尿病や喫煙などについて、男女差があることは知られていた。BMJ誌オンライン版2016年1月19日号掲載の報告。

高齢がん患者の病院死亡率とコスト、欧米7ヵ国で比較/JAMA

 欧米先進7ヵ国で、がん患者の死亡した場所や死亡前半年間の医療費などを比べたところ、急性期病院での死亡割合はベルギーとカナダが最も高く過半数を占め、一方、米国やベルギーは20%台と低かった。死亡前半年間の医療費については、高額だったのはカナダ、ノルウェー、米国で1万9,000~2万2,000ドル、低額だったのは英国、オランダで9,000~1万1,000ドルだった。米国・ペンシルベニア大学のJustin E. Bekelman氏らが、2010年以降にがんで死亡した65歳超について、後ろ向きコホート試験を行った結果、明らかにされた。JAMA誌2016年1月19日号掲載の報告より。

心不全への遺伝子治療、AAV1/SERCA2aは予後を改善するか/Lancet

 アデノ随伴ウイルス1(AAV1)をベクターとして筋小胞体/小胞体Ca2+-ATPase(SERCA2a)を導入する遺伝子治療(AAV1/SERCA2a)は、試験用量では心不全患者の予後を改善しないことが、米国・カリフォルニア大学サンディエゴ校のBarry Greenberg氏らが行ったCUPID 2試験で示された。SERCA2aは、心臓拡張期にサイトゾル由来のCa2+を筋小胞体内へ輸送することで心筋細胞の収縮と弛緩を調整している。心不全患者はSERCA2a活性が不足しており、遺伝子導入によってこの異常を是正することで心機能が改善する可能性が示唆されている。Lancet誌オンライン版2016年1月20日号掲載の報告。

術後補助化学療法が有効なStageII大腸がんのバイオマーカー/NEJM

 StageII大腸がんのうち、腫瘍細胞にcaudal-type homeobox transcription factor 2(CDX2)の発現がみられない患者は再発リスクが高く、術後補助化学療法からベネフィットを得る可能性が高いことが、米国・コロンビア大学のPiero Dalerba氏らの検討で明らかとなった。高リスクStageII大腸がんの同定は、術後補助化学療法を要する患者の選択において重要とされる。マイクロアレイによる幹細胞や前駆細胞由来の多遺伝子発現解析が期待されているが、臨床での使用は困難だという。NEJM誌2016年1月21日号掲載の報告。

クラリスロマイシンと心血管リスク/BMJ

 抗菌薬クラリスロマイシンの使用は、心筋梗塞、不整脈および心臓死リスクの有意な増大と関連していることが、中国・香港大学のAngel Y S Wong氏らが行った住民ベース試験の結果、示された。ただしその関連は短期的なもので、長期的な関連は観察されなかったという。先行疫学研究で、クラリスロマイシンが重篤な心血管アウトカムのリスク増加と関連していることが示唆されていたが、リスクが短期的なものか長期にわたるのか不明であった。BMJ誌オンライン2016年1月14日号掲載の報告。