ジャーナル四天王(NEJM ・ Lancet ・ JAMA ・ BMJ )最新ニュース|page:231

テレモニタリング+薬剤師による管理で血圧改善/JAMA

 患者の自宅からの家庭血圧テレモニタリングと薬剤師による血圧管理を組み合わせた降圧治療の有用性が、米国・HealthPartners Institute for Education and Research(ミネアポリス市)のKaren L Margolis氏らが行ったHyperLink試験で確認された。多くの有効な治療薬が開発されているにもかかわらず、米国では血圧が推奨値以下に管理されている成人高血圧患者は約半数にとどまる。最近の系統的レビューは、血圧の改善には診療体制を再編し、医師以外の医療従事者の主導で降圧治療の調整を行う必要があると結論づけており、遠隔治療と看護師、薬剤師主導のチーム医療を組み合わせた介入の有効性を示唆する研究結果もあるという。JAMA誌2013年7月3日号掲載の報告。

高齢者の高額医療費、外来サービス充実による医療費削減には限界がある/JAMA

 米国・ハーバード公衆衛生大学院のKaren E. Joynt氏らが、米国高齢者向け公的医療保険メディケアの高額医療費受給者について、予防可能な急性期医療サービスにかかる費用の占める割合を調べたところ、病院救急部門医療費では約4割、入院医療費では約1割と推定された。そのため著者は「外来医療サービスを充実しても、高齢者の高額医療費を削減するには限界があるようだ」と述べている。JAMA誌2013年6月26日号掲載の報告より。

アスピリンの定期的服用、BRAF野生型の大腸がんリスクを低下/JAMA

 アスピリンの定期的な服用は、BRAF野生型の大腸がんリスクを3~5割ほど減少する一方、BRAF変異の大腸がんリスクについては減少しなかったことが明らかにされた。米国・ダナファーバーがん研究所のReiko Nishihara氏らが、米国看護師健康調査などの参加被験者13万例弱を対象とした調査で明らかにしたもので、JAMA誌2013年6月26日号で発表した。

鳥インフルエンザA(H7N9)感染、それほど重大ではなかった?/Lancet

 2013年3月に第1例が特定されヒトへの感染が明らかとなった、鳥インフルエンザA(H7N9)ウイルス感染症について、中国疾病管理予防センター(CDC)のHongjie Yu氏らが5月28日時点で行った臨床的重症度の評価結果を発表した。入院となった感染患者は123例で、そのうち37例(30%)が死亡、17例はなお入院中であり、回復したのは69例(56%)であったことなどを報告している。Lancet誌オンライン版2013年6月21日号掲載の報告より。

中断機能が付いたインスリンポンプ、夜間低血糖イベントを37.5%減少/NEJM

 低血糖の閾値を感知する機能が付いたインスリンポンプは、毎日複数回を要するインスリン注射に匹敵する血糖管理の利点を有するが、重篤な夜間低血糖リスクを有意に低下するかについては明らかではなかった。そこで米国・Park Nicollet国際糖尿病センターのRichard M. Bergenstal氏ら研究グループは、あらかじめ設定した血糖値でインスリン注入が一時的に停止する中断機能(最長2時間)を加えて、その有用性を検証する無作為化試験を行った。その結果、同機能を加えることで、夜間低血糖が有意に低下したことを報告した。NEJM誌オンライン版2013年6月22日号掲載の報告より。

リチウムが気分障害患者の自殺リスクを低減/BMJ

 リチウムは気分障害患者における自殺リスクの抑制に有効な治療法であることが、イタリア・ベローナ大学のAndrea Cipriani氏らの検討で示された。精神疾患の中でも、単極性障害(うつ病エピソード)および双極性障害(躁病もしくは軽躁病で、通常、中等度のうつ病エピソードを伴う)からなる気分障害は自殺リスクが最も高いとされる。自殺予防戦略における薬物療法の役割は相対的に小さいが、抗精神病薬の効果は過小評価されている可能性があるという。気分障害患者におけるリチウムの自殺や自傷の予防効果は、これまで知られていなかった。BMJ誌オンライン版2013年6月27日号掲載の報告。

クロピドグレル追加、TIA患者の脳卒中を予防/NEJM

 一過性脳虚血発作(TIA)および軽症虚血性脳卒中の患者において、クロピドグレル(商品名:プラビックス)+アスピリン併用療法はアスピリン単独療法に比べ脳卒中再発の予防効果が有意に優れることが、中国・首都医科大学附属北京天壇病院のYongjun Wang氏らが実施したCHANCE試験で示された。懸念された出血リスクの増加は認めなかった。中国では毎年、約300万人が新規に脳卒中を発症し、その約30%が軽症脳卒中であり、TIAの発症は毎年200万人以上に上るという。脳卒中は、TIAや軽症脳卒中から数週間以内に発症することが多く、パイロット試験ではクロピドグレル+アスピリン併用はアスピリン単独よりも脳卒中再発の予防効果が高い可能性が示唆されていた。NEJM誌オンライン版2013年6月26日号掲載の報告。

n-3系多価不飽和脂肪酸、乳がんリスクを抑制/BMJ

 食事に含まれる海産物由来のn-3系多価不飽和脂肪酸(n-3 PUFA)の摂取量が増えるほど、乳がんリスクが低減することが、中国・浙江大学のJu-Sheng Zheng氏らの検討で示された。2008年の世界的ながん統計調査では、乳がんは全がん患者の23%、全がん死の14%を占めている。また、疫学研究では魚類やn-3 PUFAの摂取は乳がんの発症に対し予防的に働くことが示唆されているが、この知見と矛盾する観察試験の結果があるという。BMJ誌オンライン版2013年6月27日号掲載の報告。

抗精神病薬の効果はすべて同じ、ではない/Lancet

 統合失調症の治療に使用される抗精神病薬は、個々の薬剤で副作用が大きく異なり、有効性にも小さいながら確固とした差があることが、ドイツ・ミュンヘン工科大学rechts der IsarクリニックのStefan Leucht氏らの検討で示された。同氏は「抗精神病薬の効果は第1世代と第2世代で同じとの定説を覆すもの」としている。統合失調症の治療に、どの抗精神病薬が望ましいかとの問いへの答えは、主に費用対効果の問題で錯綜しており、従来のpairwise法によるメタ解析では、有効性および忍容性のエビデンスに基づく序列(evidence-based hierarchy)は確立されていないという。Lancet誌オンライン版2013年6月27日号掲載の報告。

汚染メチルプレドニゾロン注射による脊椎真菌感染症、MRIで高精度に識別/JAMA

 汚染されたメチルプレドニゾロン注射を受けた人に対し、MRI検査を行うことで、脊椎または傍脊椎真菌感染症の有無を、高い精度で識別できることが明らかになった。米国・St Joseph Mercy HospitalのAnurag N. Malani氏らが行った試験の結果、報告したもので、MRI所見で異常が認められた36例中35例で、同真菌感染症である可能性が高いと診断されたという。米国では2012年に、汚染されたメチルプレドニゾロン注射(薬局で調製)が原因で、多州にわたる髄膜炎のアウトブレイクが発生している。JAMA誌2013年6月19日号掲載の報告より。

肺サルコイドーシス診断、胸部リンパ節吸引生検の診断率は80%と高率/JAMA

 ステージI・II肺サルコイドーシスの疑いのある非乾酪性肉芽腫の確定診断を受けた患者に対し、超音波内視鏡下胸部リンパ節吸引生検による診断率は80%と、気管支鏡下肺生検の診断率53%に比べ、大幅に高率であることが示された。オランダ・ライデン大学メディカルセンターのMartin B. von Bartheld氏らが、300例超について行った無作為化比較試験の結果、明らかにしたもので、JAMA誌2013年6月19日号で発表した。現状では、こうした患者に対する診断については、気管支鏡下肺生検が標準的に行われているが、その診断感度は中程度であり、超音波内視鏡下胸部リンパ節吸引生検のほうが診断技術として優れているのではないかと有望視されていた。

過体重・肥満の2型糖尿病患者、生活習慣介入強化では心血管リスクは低下しない/NEJM

 過体重・肥満の2型糖尿病患者に対し、生活習慣介入を強化し体重減少を図っても、心血管イベントの発生率は減少しなかったことが明らかにされた。米国・ブラウン大学ワーレンアルパートメディカルスクールのRena R. Wing氏ら「Look AHEAD研究グループ(糖尿病健康アクション)」が報告した。過体重・肥満の2型糖尿病患者には体重減少が推奨されているが、これまで体重減少が心血管疾患へ及ぼす長期的な影響について明らかではなかった。NEJM誌オンライン版2013年6月24日号掲載の報告より。

若年性特発性関節炎患児へのMMRワクチンブースター接種、安全性を確認/JAMA

 若年性特発性関節炎(JIA)患児への弱毒生麻疹・流行性耳下腺炎・風疹(MMR)ワクチンのブースター接種について、疾患活動性を悪化することなく免疫獲得に結びつくことが、オランダ・ユトレヒト大学ヴィルヘルミナ小児病院のMarloes W. Heijstek氏らによる多施設共同無作為化試験の結果、示された。オランダではMMRブースターの定期接種(NIP)は9~10歳時に行われる。しかしMMRワクチンの安全性について、小規模の先行試験においてワクチンの風疹要因が関節炎を引き起こすことが示されていた。JAMA誌2013年6月19日号掲載の報告。

5-ARI、前立腺がんリスクを低減、重症がんは抑制せず/BMJ

 前立腺肥大症による下部尿路症状の治療として5α還元酵素阻害薬(5-ARI)の投与を受けた男性では、Gleasonスコア2~7の前立腺がんのリスクは低下するが、Gleasonスコア8~10のリスクには影響がみられないことが、スウェーデン・ウメオ大学のDavid Robinson氏らの検討で示された。2つの無作為化試験(PCPT試験、REDUCE試験)により、5-ARI投与は前立腺がん全体のリスクを23~25%低下させる一方で、Gleasonスコア8~10の前立腺がんのリスクはむしろ増大させることが示されている。この知見に基づき、米国食品医薬品局(FDA)は2011年、「5-ARIはより重篤な前立腺がんのリスクを増大させる可能性がある」との安全性に関する勧告を発表している。BMJ誌オンライン版2013年6月18日号掲載の報告。

急性虚血性脳卒中、迅速なt-PA開始を支持する新たなエビデンス/JAMA

 急性虚血性脳卒中患者の治療では、発症から組織プラスミノーゲンアクチベータ(t-PA)による血栓溶解療法の開始が迅速であるほど、良好な転帰が達成されることが、米国・カリフォルニア大学ロサンゼルス校のJeffrey L Saver氏らの検討で示された。これまでに、急性虚血性脳卒中に対するt-PAの静脈内投与の効果は時間依存性であることが、無作為化臨床試験で示唆されている。一方、発症からt-PA投与開始(onset to treatment:OTT)までの時間が転帰に及ぼす影響を評価するには、いまだに症例数が十分でないため、臨床的知見の一般化可能性は確定的ではないという。JAMA誌2013年6月19日号掲載の報告。

新種のMERSコロナウイルスの院内ヒト間感染を確認/NEJM

 重篤な肺炎を引き起こす新種の中東呼吸器症候群(Middle East respiratory syndrome; MERS)コロナウイルス(MERS-CoV)の、医療施設内でのヒト間感染の可能性を示唆する調査結果が、サウジアラビア保健省のAbdullah Assiri氏らKSA MERS-CoV調査団により、NEJM誌オンライン版2013年6月19日号で報告された。2003~2004年のSARSパンデミック以降、呼吸器感染症の原因となる2種類の新規ヒトコロナウイルス(HKU-1、NL-63)が確認されているが、いずれも症状は軽度だった。一方、2012年9月、世界保健機構(WHO)に重篤な市中肺炎を引き起こす新種のヒトコロナウイルス(β型)が報告され、最近、MERS-CoVと命名された。現在、サウジアラビアのほか、カタール、ヨルダン、英国、ドイツ、フランス、チュニジア、イタリアでヒトへの感染が確認されているが、感染源などの詳細は不明とされる。

イブルチニブ、再発・難治性CLLで高い長期寛解率を達成/NEJM

 ブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)阻害薬イブルチニブ(ibrutinib、国内未承認)は、再発・難治性慢性リンパ性白血病(CLL)および小リンパ球性リンパ腫(SLL)の治療において高い有用性を示す可能性があることが、米国・オハイオ州立大学のJohn C. Byrd氏らの検討で明らかとなった。BTKはB細胞受容体シグナル伝達系の主要コンポーネントで、腫瘍微小環境との相互作用を誘導し、CLL細胞の生存や増殖を促進するとされる。イブルチニブはBTKを阻害する経口薬で、正常T細胞には有害な影響を及ぼさないという特徴を持ち、CLL、SLLを含む第I相試験で有望な安全性と抗腫瘍効果が確認されている。NEJM誌オンライン版2013年6月19日号掲載の報告。

乳児の急性細気管支炎治療、アドレナリン吸入は食塩水吸入と同程度/NEJM

 乳児の急性細気管支炎の治療について、ラセミ体アドレナリン(商品名:ボスミン)吸入は、食塩水吸入よりも有効でなかったことが示された。一方で、吸入治療戦略に関して、固定スケジュールよりも必要に応じて行うオンデマンド吸入が優れていると考えられることも明らかになった。ノルウェー・オスロ大学病院のHavard Ove Skjerven氏らが、多施設共同無作為化試験の結果、報告した。乳児の急性細気管支炎は大半はRSウイルスが原因で、入院率が高く換気補助を必要とし、致死的なこともある。治療では気管支拡張薬の使用は推奨されておらず、食塩水吸入の治療が行われることが多いが、吸入治療の効果の可能性については、薬剤の種類、投与の頻度に関するコンセンサスは得られていないのが現状であった。NEJM誌2013年6月13日号掲載の報告より。

ITを活用した肥満児のプライマリ共同ケアモデル、効果には疑問/BMJ

 3~10歳の肥満児に対する、一般開業医と体重マネジメント専門サービス(小児科医3人、栄養士2人)による「共同ケアモデル」の介入は、実行可能で有害性はなく、家族と一般医からの評価は高いが、対照群と比較してBMIならびに他のアウトカムを改善しなかったことが明らかになった。オーストラリア・王立小児病院のMelissa Wake氏らが無作為化試験の結果、報告した。同国では、専門的な肥満治療クリニックにアクセスできる肥満児が限られているという。共同ケアモデルはITを駆使したもので、アクセス改善が期待されたが、その有効性は検証されていなかった。BMJ誌オンライン版2013年6月10日号掲載の報告より。

乾癬性関節炎に対するウステキヌマブの有効性と安全性を確認/Lancet

 中等症~重症の尋常性乾癬に対して有効性が示されているウステキヌマブ(商品名:ステラーラ)は、活動期の乾癬性関節炎に対しても有効であることが示された。イギリス・グラスゴー大学のIain B McInnes氏らが、第3相多施設共同二重盲検プラセボ対照試験の結果、報告した。乾癬患者の多くが乾癬性関節炎を呈し、QOLの低下や死亡率増大が認められるが、ウステキヌマブの第2相試験において、症候性症状の改善およびQOLの改善が報告されていた。Lancet誌オンライン版2013年6月12日号掲載の報告より。