ジャーナル四天王(NEJM ・ Lancet ・ JAMA ・ BMJ )最新ニュース|page:232

EV71ワクチン、乳幼児対象の第3相試験で高い有効性と良好な安全性を報告/Lancet

 エンテロウイルス71(EV71)ワクチンの有効性と安全性、免疫原性について検討した第3相無作為化試験の結果、有効性は高く、安全性は良好で、免疫原性の維持が確認されたことを、中国・江蘇省疾病管理予防センター(CDC)のFeng-Cai Zhu氏らが報告した。EV71感染症は1974年に疾患報告されて以降、世界的に手足口病(HFMD)と関連した発生が、とくに乳幼児で多く報告され、過去10年では600万例以上の感染、2,000例以上の死亡が報告されているという。不活化アラムアジュバントEV71ワクチンは中国で開発され、成人および小児を対象とした第1相、第2相試験で安全性と免疫原性が確認されていた。今回の第3相試験は乳幼児を対象に、EV71と関連した疾患予防を目的とした評価が行われた。Lancet誌オンライン版2013年5月29日号掲載の報告より。

ラクナ梗塞患者の二次予防目的とした血圧目標値は<130mmHgが有益:SPS3/Lancet

 ラクナ梗塞を最近(180日以内)発症した患者に対し、収縮期血圧目標値130mmHg未満とする血圧コントロールは「有益であり支持される」ことを、カナダ・ブリティッシュコロンビア大学のOscar R Benavente氏らがSecondary Prevention of Small Subcortical Strokes(SPS3)試験の結果、発表した。SPS3試験は米国NIH-NINDSの資金提供の下、ラクナ梗塞患者の二次予防を目的に、抗血小板療法および今回発表した血圧管理についてそれぞれ2つのアームを検討した国際共同オープンラベル無作為化試験で、抗血小板療法については先に発表されている。血圧管理は、血圧を下げることは脳卒中予防に結びつくが、脳卒中再発予防の至適目標値は不明であったことから、高値群(130~149mmHg)と低値群(<130mmHg)を設定し、再発への影響を調べたものであった。Lancet誌オンライン版2013年5月29日号掲載の報告より。

帝王切開の短期的アウトカム、手法の違いによる有意差はない/Lancet

 帝王切開を行う際に、子宮の一層または二層縫合といった手法の違いによって、術後6週間の短期的アウトカムに有意な差はみられないことが示された。UK Medical Research CouncilとWHOとによる「CORONIS試験」の結果で、Lancet誌オンライン版2013年5月28日号で発表した。帝王切開の手技は複数あるが、これまで無作為化試験による厳格な検討は行われていなかったという。本検討は、いずれの手術が母体および出生児のアウトカム改善と関連しているのかについて調べることを目的とした。

鳥インフルエンザA(H7N9)患者の約8割がICU、死亡は約3割/NEJM

 中国で2013年春に流行した鳥インフルエンザA(H7N9)の感染者111例について、診療記録を基に行った調査の結果、ICUで治療を受けたのは約77%、死亡は27%であったことを、北京大学のHai-Nv Gao氏らが報告した。また、患者の大半は入院時に肺炎と同様な症状を呈し、患者の年齢中央値は61歳であったという。NEJM誌オンライン版2013年5月22日号掲載の報告より。

妊娠初期のヨウ素欠乏、出生児の低い言語・読解力と関連/Lancet

 英国・サリー大学のSarah C Bath氏らは、母体の妊娠初期の尿中ヨウ素量と、出生児の8歳時の知能指数(IQ)および9歳時の読解力との関連を調べた結果、150μg/g未満群は同量以上群と比べて、出生児のIQなどが低いことを明らかにした。甲状腺ホルモンの構成成分であるヨウ素は、胎児の発育に欠かせないもので、英国では長い間、母体のヨウ素量は充足していると考えられていた。しかし近年、軽度に欠乏している可能性を示唆するエビデンスが増えていたという。今回の結果を踏まえて著者は「英国の妊産婦のヨウ素欠乏について、注意を要する重大な公衆衛生問題として対策を行う必要がある」と提言している。Lancet誌オンライン版2013年5月22日号掲載の報告より。

スタチン薬による糖尿病発症リスクの検討/BMJ

 スタチン薬について示唆されていた糖尿病の新規発症リスクについて、格差があることが明らかにされた。カナダ・トロント総合病院のAleesa A Carter氏らが、オンタリオ住民150万人以上の医療記録をベースとした研究の結果、プラバスタチン(商品名:メバロチンほか)と比較して、より効力の高いスタチン薬、とくにアトルバスタチン(同:リピトールほか)とシンバスタチン(同:リポバスほか)でリスクが高い可能性があることを報告した。BMJ誌オンライン版2013年5月23日号掲載の報告より。

糖質コルチコイド短期投与、COPD増悪例の急性再増悪を抑制/JAMA

 慢性閉塞性肺疾患(COPD)の急性増悪例に対する糖質コルチコイド全身療法の5日間投与は、再増悪の抑制効果に関して14日投与に対し非劣性であり、ステロイド曝露量は有意に低下することが、スイス・バーゼル大学病院のJorg D Leuppi氏らが実施したREDUCE試験で示された。COPDでは頻回の増悪により死亡率が上昇し、スイスのプライマリ・ケア医ベースのCOPDコホートの検討では約23~25%が1年以内に薬物療法を要する増悪を経験することが知られている。COPDの国際的ガイドラインは、急性増悪時の糖質コルチコイドによる全身療法の治療期間は7~14日を推奨しているが、至適な用量や治療期間は不明だという。JAMA誌オンライン版2013年5月21日号掲載の報告。

若年者への低線量CT検査、発がんリスク増大/BMJ

 CT検査を受けた若年者における発がんの原因のほとんどは、検査による放射線被曝である可能性が、オーストラリア・メルボルン大学のJohn D Mathews氏らの調査で示された。1980年代以降、CT検査の施行率は実質的に上昇している。高線量の電離放射線被曝は発がんの原因となることが知られているが、低線量のCTスキャン(1臓器当たり5~50mGy)の発がんリスクは不明である。最近、英国でCT検査を受けた18万人の若年者の検討で、線量の増加に伴って白血病や脳腫瘍のリスクが増大することが示されていた。BMJ誌オンライン版2013年5月22日号掲載の報告。

dupilumab、好酸球数増多を伴う喘息患者の増悪を抑制/NEJM

 新たな抗体医薬dupilumabは、吸入ステロイド薬+長時間作用型β2刺激薬(LABA)でコントロール不十分な好酸球増多を伴う中等症~重症の持続型喘息患者の治療において、これらの併用薬を中止後もプラセボに比べ増悪を高度に抑制することが、米国・ピッツバーグ大学のSally Wenzel氏らの検討で示された。dupilumabはインターロイキン(IL)-4受容体のαサブユニットに対する完全ヒトモノクローナル抗体で、2型ヘルパーT(Th2)細胞経路の主要なサイトカインであるIL-4およびIL-13双方のシグナル伝達を遮断することから、Th2細胞経路関連疾患の治療薬としての評価が進められている。本報告は第109回米国胸部学会(ATS、5月17~22日、フィラデルフィア)で発表され、NEJM誌オンライン版2013年5月21日号に掲載された。

高齢2型糖尿病患者へのビルダグリプチン、優れた目標血糖値の達成率/Lancet

 DPP-4阻害薬ビルダグリプチン(商品名:エクア)は、高齢の2型糖尿病患者の治療において、担当医が設定した個々の患者の目標血糖値(HbA1c)の達成率が良好で、忍容性にも問題はないことが、英国エクセター大学医学部のW David Strain氏らが実施したINTERVAL試験で示された。2型糖尿病の高齢患者数は世界的に増加しており、65歳以上の有病率は18~20%とされる。欧米のガイドラインは、裏付けとなるエビデンスを持たないまま、高齢患者の血糖コントロールでは個々に目標値を設定することを勧めている。一方、これらの患者におけるビルダグリプチンの良好な有効性と安全性を示唆するプール解析の結果があるという。Lancet誌オンライン版2013年5月23日号掲載の報告。

RSV流行期に健常早産児へのパリビズマブ月1回投与、喘鳴エピソードを有意に抑制/NEJM

 RSウイルス(RSV)の流行期に、健常早産児にモノクローナル抗体パリビズマブ(商品名:シナジス)を月1回投与することで、生後1年間の喘鳴が認められた日数が有意に減少し、また投与終了後も効果の持続が認められたことが、オランダ・ユトレヒト大学病院のMaarten O. Blanken氏らによる多施設共同二重盲検無作為化プラセボ対照試験MAKIの結果、報告された。RSVは、1歳未満児の冬季入院の最も多い原因である。また、重症RSV感染症は、高齢になってからの喘息等の発生率と関連していること、さらにRSVは幼児期の喘鳴症状との関連やQOL、医療コストに与える影響が大きいことが知られている。しかし観察研究では、RSV感染が反復性喘鳴の原因であるのか、早産児においてはもともと存在する肺の脆弱性の最初の徴候であるのかが明らかではなかった。一方でパリビズマブは、ハイリスクの乳児の重症RSV感染症の予防に有効であることが先行研究で示されていた。NEJM誌2013年5月9日号掲載の報告より。

乳児への経口ビタミンD投与量、1,600 IU/日では過剰投与か/JAMA

 乳児への経口ビタミンD投与について、投与3ヵ月時点で乳児の97.5%以上で血中25-ヒドロキシビタミンD[25(OH)D]値が75nmol/L以上を達成するための投与量は、1,600 IU/日であることが明らかになった。400~1,200 IU/日では、同目標は達成できなかった。一方で、ビタミンDの1600 IU/日投与を続けると、血中25(OH)D値は上昇を続けて250nmol/L以上となり、高カルシウム血症リスクを増大する可能性があることも明らかになった。カナダ・マックギル大学のSina Gallo氏らが、乳児132例を対象に行った二重盲無作為化試験の結果で、JAMA誌2013年5月1日号で報告した。現状では乳児へのビタミンD投与は、血中25(OH)D値40~50nmol/Lを目標に400 IU/日とするとされているが、健康な骨をつくるには75~150 nmol/Lの投与が望ましいとする意見もあるという。

重症ARDSへの早期の腹臥位治療、28日・90日死亡率を半分以下に減少/NEJM

 重症急性呼吸窮迫症候群(ARDS)の患者に対し、腹臥位治療を連続16時間以上行うと、仰臥位に比べ、28日死亡リスクはおよそ6割、90日死亡リスクは5割強、それぞれ減少することが報告された。フランス・リヨン大学のClaude Guerin氏らが、重度ARDS患者500例弱について行った、多施設共同無作為化比較試験PROSEVAの結果で、NEJM誌オンライン版2013年5月20日号で発表した。急性ARDS患者を含む先行研究においては、人工呼吸器装着中の腹臥位治療について転帰の改善は示されなかったという。

末梢挿入型中心静脈カテーテルは他のCVCと比べて深部静脈血栓症リスクが高い/Lancet

 末梢挿入型中心静脈カテーテル(PICC)は、他の中心静脈カテーテル(CVC)と比べて、深部静脈血栓症のリスクが高いことが明らかにされた。とくに、重篤患者やがん患者でリスクが高かった。米国・ミシガン大学ヘルスシステムのVineet Chopra氏らによるシステマティックレビューおよびメタ解析による結果で、これまでPICCと静脈血栓塞栓症リスク増大との関連は知られていたが、他のCVCと比べてどれほどのリスクがあるのかは明らかにされていなかった。結果を踏まえて著者は、「PICCを用いるかどうかの判断は、デバイスがもたらすベネフィットと血栓症のリスクを十分に推し量って検討すべきである」と結論している。Lancet誌オンライン版2013年5月20日号掲載の報告より。

加齢黄斑変性に対するルテイン+ゼアキサンチン、オメガ3脂肪酸の効果は?/JAMA

 米国NIHのEmily Y. ChewらAge-Related Eye Disease Study(AREDS)2の研究グループは、経口サプリメント(抗酸化ビタミンCとE、βカロチンと亜鉛を含む:AREDS製剤)に加えて、ルテイン+ゼアキサンチン(カロチノイド)、ω-3長鎖不飽和脂肪酸(ドコサヘキサエン酸[DHA]+エイコサペンタエン酸[EPA])、あるいは両方を加えることで、加齢黄斑変性(AMD)の発症リスクがさらに低下するのか無作為化試験を行った。先行研究において、AREDS製剤の連日服用により、5年で25%、AMD発症リスクを抑制したことが示されていた。一方、観察研究のデータで、ルテイン+ゼアキサンチン、DHA+EPA、またはその両方を増強した食事の摂取と、AMD発症リスク低下との関連が示されており、これらをAREDS製剤に加えることの効果が検討された。JAMA誌2013年5月15日号(オンライン版2013年5月5日号)掲載の報告より。

ペーシング非適応患者への一次予防として二腔ICDを選択する理由は不明である/JAMA

 ペーシングの必要性がない患者への一次予防として移植する植込み型除細動器(ICD)について、デュアルチャンバー(二腔)デバイスとシングルチャンバー(単腔)デバイスとを比較した結果、二腔ICDのほうがデバイス関連合併症が高率であり、移植後1年死亡率および入院アウトカムは両デバイスで同程度であったことが示された。米国・デンバー保健医療センターのPamela N. Peterson氏らによる後ろ向きコホート研究からの報告で、「ペーシング非適応患者に対して二腔ICDを優先的に用いる理由は明らかにならなかった」とまとめている。一次予防としてのICDの有効性を検討した無作為化試験は主に単腔ICDが用いられてきた。しかし臨床の場では、ペーシングの必要性が明白でない場合でも、しばしば二腔ICDが移植されている。これまで、二腔ICDと単腔ICDのアウトカムは明らかになっていなかった。JAMA誌2013年5月15日号より。

テリパラチド+デノスマブ、骨折リスクの高い患者に有用である可能性/Lancet

 骨粗鬆症治療薬のテリパラチド(商品名:テリボン、フォルテオ)とデノスマブ(同:プラリア)について、併用して用いると、それぞれを単独かつ承認最大用量で用いた場合よりも骨密度が有意に増大することが示された。米国・マサチューセッツ総合病院のJoy N Tsai氏らによる、閉経後骨粗鬆症患者を対象としたオープンラベル無作為化試験の結果で、「併用療法は骨折リスクの高い患者に対する治療として有用である可能性がある」と報告した。ここ数十年で骨粗鬆症の治療薬は選択肢が拡大したが、骨粗鬆症が進行した患者の骨を完全に正常に回復することは困難で、また重症患者の治療オプションはなお課題とされている。これまでの併用療法による治療改善の検討は、大半が不成功に終わっていた。テリパラチドについてもビスホスホネートとの併用による治療の改善は示されなかった。Lancet誌オンライン版2013年5月15日号掲載の報告より。

n-3脂肪酸、複数の心血管疾患リスクを有する患者において有益な効果なし/NEJM

 複数の心血管疾患リスクを有するプライマリ・ケア患者について、魚由来のn-3系多価不飽和脂肪酸の連日服用は、心血管死および罹患の低下に結びつかないことが、Maria Carla Roncaglioni氏ら860人の医師が参加したイタリア全国開業医ネットワークのリスク・予防研究共同研究グループによる二重盲検プラセボ対照無作為化試験の結果、報告された。先行研究においてn-3脂肪酸は、アテローム性動脈硬化 、炎症に対する有益な効果により、心血管疾患リスクを低減する可能性が示唆され、心筋梗塞や心不全既往患者において有益であると明文化されていた。NEJM誌2013年5月9日号掲載の報告より。

H.pylori有病率と関連する遺伝的要因が明らかに/JAMA

 白人集団におけるゲノムワイド関連研究(GWAS)の結果、遺伝子座Toll様受容体(TLR)1と、ヘリコバクター・ピロリ(H.pylori)の血清疫学的有病率との関連が明らかになった。ドイツ・グライフスヴァルト大学のJulia Mayerle氏らが、2つの独立した集団コホートからなる計1万例について調べ明らかにしたもので、JAMA誌2013年5月8日号で発表した。発展途上国では、H.pyloriの有病率が90%と高率だが、高頻度の曝露にもかかわらず残り10%の人には同感染が認められないことが明らかとなっていた。そのため、H.pyloriに対する感受性には遺伝的要因が関連しているとの仮説があり、研究グループは、GWASによってその特定を試みた。

ICDのVT検出インターバル、長期vs.標準設定/JAMA

 植込み型除細動器(ICD)について、心室不整脈(VT)検出インターバルを30~40に設定すると、標準設定の18~24と比べ、ATPやショック発生リスク、不適切なショック発生リスクのいずれもが、有意に減少することが明らかになった。一方で、死亡率については両者で有意差はなかった。イタリア・Humanitas Clinical and Research CenterのMaurizio Gasparini氏らによる無作為化単盲検試験「ADVANCE III」の結果で、著者は、「標準設定よりも長期インターバルの設定とする戦略は、適正な選択肢となりうる可能性がある」と結論している。JAMA誌2013年5月8日号掲載の報告より。